多治川将
(たじかわまさる)
二十四歳だが無職
姉の恋人に片思い中
多治川雅実
(たじかわまさみ)
二十七歳の会社員
将が自分の旦那に
片思いしてる事を知らない
江藤信晶
(えとうのぶあき)
雅実の旦那
将の気持ちには
気付いてないフリを
しているだけで、
本当は将が好き
僕は好きな人が居る
この恋は
一生かかっても叶わない
だって、相手は
姉の恋人
後の旦那なのだから……
姉さんと
恋人の信晶さんは
近々結婚する予定らしい 。
好きな人が
義兄になるとか
悲しすぎる……
しかも、結婚したら
此処に住むという……
幸いなのは
二人が僕の気持ちに
気付いてないことだ。
二人の結婚式が
後二ヶ月と
迫ってきた頃
姉さんの
ウエディングドレス選びに
付き合わされる
こととなった。
僕は内心、
嫌だなぁと思った。
姉さんにというより、
信晶さんに
結婚して欲しくない……
幾ら姉さんの恋人でも
好きな人が
結婚するのは嫌だ。
試着する度にどぉ?
と聞いて来る姉さん。
その度に
いいんじゃないとか、
似合ってるよとか
返事を返す。
姉さん本人は
とても綺麗だし、
よく似合ってると思うけど
相手が信晶さんなのが問題なのだ。
あくまでも、
僕一人の問題だけど……
両親も姉さんも
そして、信晶さんも
僕の気持ちには
気付いていない。
一生気付かないでと
願うばかりだ。
結局、結婚式は
行われた。
ただし、僕は
出席しなかったけど……
結婚式当日、
幸か不幸か
熱を出したのだ。
両親や姉さんは
不思議がっていた。
見たくない、
行きたくないという
想いから
身体が拒絶反応を
起こしたらしい。
でも、この先
信晶さんは
この家に住むんだ。
僕にとっての
地獄が始まる……
フラれるのは、当然だけど
ドン引かれても
姉さんと喧嘩しても
一度くらいは
自分の気持ちを
伝えていたら
今より、少しは
マシだったのかな……?
ただでさえ
引きこもりに近い
生活をしてる僕は
二人に会いたくなくて
更に引きこもる
ようになった。
朝は姉さん達が
仕事に出掛けた後で、
昼と夜は姉さん達が
寝た後に食べる。
だけど、それは
平日だけで、
休日になれば
朝昼はともかく
夜は必然的に一緒に
食べなきゃいけない。
色んな感情を
押し隠して、嘘をついて
今日も無表情の
仮面を張り付ける。
あの結婚式から
半年経ち、季節は
春から秋に替わっていた。
そんなある日、
信晶さんが
僕の部屋に来た……
この日、両親は旅行に
姉さんは残業で
家には信晶さんと
二人だった。
そんな状況だったから
僕は朝から晩まで
部屋に篭りっきりだった。
まだ、面と向かって
話す勇気はなかったけど、
追い返すのも変だと思い、
部屋の中に招き入れた。
「こぉして話すのは
久しぶりだね?」
先に話し出したのは
信晶さんだった。