いつもなら絶対に「はい」なんて返事しないのに。

――これは、逃しちゃいけない。なんて、本能がとっさに私を動かした


うん、タダだし別に。


そう自分に言い聞かせてついて行ったのは、大通りからは少し離れた、お洒落なヘアサロン


真っ白なその店装は南フランスの建物のような、リゾートを思わせる素敵な――。




ああ、場違い。

私。きっと欲張りすぎて判断を謝ったかも。





地味な通勤着。


すっかり気の抜けた、女子力のない自分の出で立ちに早くも逃げ出したくなった。