「あ…っと、ごめんね?俺、別の本探すからそれは君に譲るよ」



その人は申し訳なさそうな笑顔を見せてそう言った。




「え、いいんですか?」



「うん。全然いいよ」




うわぁ…


いい人だなぁ、この人。





「それより、
君ってよくここに来るよね?」



「え、はい。どうしてそれを…?」




そう聞き返すと、
その人は頭を掻きながら苦笑いを浮かべた。






「俺もここに来るんだけど…
なんだ、やっぱり知らないのかー」






えっ!?


うそっ…




わたしの記憶上、
ここをよく利用する人なんていないはずなんだけど…。