*****


後ろから先輩に抱きしめられたまま話をする。


「犬の名前、マリンにしたんです」


「マリンか。いいな。海といっしょだな」


クスクスと柔らかい笑い声がする。


「先輩の家にいた男の子は?」


そういうと、あーー、っと言って、


「あいつ、欲しいってやつがいてさ。譲ってやることにした」


ごめんな、と頭を撫でてくれる先輩の手がとっても優しいから。


「また、会えますよね?」


「会えるさ。近くに住んでる奴だから」


それを聞いて安心した。

先輩が信用してる人なら大丈夫。

もうちょっと大きくなったら、マリンとセーラと三匹で公園に行こうな。

そう約束して、先輩は私の唇に触れるだけのキスを落とすと。


「じゃあ、また電話するな」


そう言って、私の耳元で「これからよろしくな、可愛い彼女さん」そんな甘い囁きと、真っ赤な顔の私を残して、帰っていった。