ローグとカチュアが吊り橋の半分くらい渡ったところでジルも後に続いた。


自分の荷物を背中に、ローグから渡されたバッグを左肩に掛けて、バランスを取りながら橋の板に足をかける。


少し力を入れて踏みしめてみたが、簡単に壊れるような代物ではないことが確認できた。


このくらいの高さはどうってことない。


ジルは前方との距離を測りながら、吊り橋を渡っていった。



目線を前に向けると、ローグに抱え上げられたカチュアが視界に入る。


彼女は先ほどと同じ体勢で身を硬くしながらローグにしがみついていた。


まったく…。
一刻の姫様を、まるで荷物のように肩に担ぐとは。
その名の通り、<お姫様だっこ>をしてやればいいものを…。

とジルは眉根を寄せる。


しかし、それでは足元がしっかり確認できないのだろう。


どちらにしろ、自分がローグに抱きかかえられることなんてこの先ないのだろうな…。

足元に視線を移し、ジルはぼんやりとそんなことを考えていた。


自分がローグに抱きかかえられた姿を想像し、一瞬でもそんな姿をかんがえた自分が恥ずかしくなる。


ジルはかぁっと顔が上気するのを感じ、頭を振った。