正午を過ぎて陽も西に傾きかけた頃、ようやく森の出口が見えてきた。


先ほどまで重くなっていた二人の足取りは自然と軽くなり、次第に早くなってくる。


木々の隙間から差し込む太陽の光が、一気に明るくなった。


森を抜けた。



そこは広がる草原だった。


心地のよい風が、二人の髪を撫でるように吹いている。


生い茂った緑の草原たちも、その風に身を任せて揺れていた。



ローグは背負っていた荷物を一旦下ろすと、水筒の水を口に含み「ふぅ」と息をつく。


ジルも水を含み、渇いた喉に潤いを与えた。



左手には、草原の向こうになだらかな丘がある。


全面土で覆われているかのようで、緑のない丘は壮大な存在感があった。


人々には<タティウスの丘>と呼ばれている。


その反対側に目を向けると、遠くにポツポツと家屋の屋根。


二人の拠点地、リィズ村が見えていた。