焔と炎は混ざり合い、天に高く上って暗雲の空を焦がしていく。


激しい爆風と熱風をもたらした後、やがて霧散して辺りに散った。


次第に激しかった風が穏やかに移り変わっていく。


ジルはローグの後姿を震える思いで眺めていた。


その時間は短かったのか、それとも長かったのか。



両足て身体を支えていたローグ。


だが、その足が力なくガクリと揺れた。


そして、ローグは膝から崩れ落ちるように、ゆっくりと前のめりに突っ伏してしまった。


手から離れたロングソードがカランと乾いた音を立てて主人の後を追うように地面に転がり落ちた。



ドクンとジルの心臓が鼓動を打った。


嘘でしょ?
ローグ……?


頭が真っ白になる。


何か言いかけても言葉にならず、口元が震えている。


ジルの視線の先にいるローグは、倒れたまま指先一つピクリとも動かない。



この瞬間、ジルの心に怒りの心情が湧き上がった。


辺りを見回し、衝撃波に飛ばされ横たわるクリストファーを確認した。

クリストファーはジルの数メートル先で倒れている。


それを認めると、ジルはクリストファーに向かって駆けた。


冷静に考えることなどできない。


クリストファーの胸倉を掴みあげると、左頬に拳を繰り出した。


見事にヒットし、再度クリストファーが地面に倒れる。



クリストファーは意識を失ってはいなかった。


ジルの打撃と衝撃波でダメージはあったものの、殴りくるジルに向けて倒れた姿勢のままニヤリと口角を上げたのだ。


これがまたジルを逆上させた。