「…家族になろう。」 俺はそっと呟いた。 叶わぬ想いなら、せめて君の側に。 「…うん。」 そう頷いた葵をたまらなく愛しく感じて。 俺は葵をそっと抱き締めた。 これくらいならば許されるだろうか。 この抱擁が終わり、二人が離れたらこの想いは胸にしまうから。 今だけは。 葵だけを感じていたかった。