――――――…
こんな形容もおかしいかもしれないが、
彼女を手放してから、2年が過ぎた。
彼女と過ごした時間は、本当に一瞬のような、夢のような泡沫のような時だった。
でも、さっきまで、彼女がそこにいたような気がしてならないんだ。
今日も、今も、「なつめさんっ。」と。
彼女が訪ねてくるのを待っている。
それでも前を向いて、
今日を迎えられた自分を誇らしく思う。
ブーブーブーブー・・・
携帯電話が振動して着信を知らせる。
「藤野さん、おめでとうございます。とうとう書店にでますね。」
苦笑しながら、担当さんに「待ちくたびれたよ。」なんて悪態を吐く。