耳鳴りがしている、そんな感覚が続く。
それに、あたりには誰もいない。
無音の空間が広がる。
彼を見つめると、困ったような顔をして頷いた。
……そうか、今私は彼を困らせている。
大好きなこの人を苦しめている。
なんて、罪悪感。
――――近くの医大、そこに行こう。
ペンを走らせ、私にそっと見せる。
ひとつ大きく頷けば、彼は私を抱きかかえた。
――――――――………
白い箱に閉じ込められ、検査を受ける。
その間、彼はずっと右手を握ってくれていた。
その手が唯一の救いだった。
…突発性難聴。
医師に告げられた診断結果。
そのたった5文字に私は震え上がる。