「あのね、昨日見たとき蕾だったから。
早く起きれば咲くところが見られるかなと、思って。
なつめさんこそ、どうしたんですか?」
花の袂にしゃがみ込み上目遣いで見つめられる。
『俺も、そろそろ咲くかと思って。
でもまさか、君がこんな早くから見張っているとか驚いた。』
「私もですよ。」
お互いで信じられない顔をして、笑いあう。
こんな早朝から何をしているのかと。
「なつめさん、このお花の名前知ってる?」
『雫さんは知ってるの?』
「うん、スターチスって言うお花で、多年草なんだけど。
この子は咲くのが普通より少し早いせっかちさん。」
『知ってたんだ…。』
思わず顔がほころぶ。
「花言葉は永遠に変わらない心、
変わらない誓い。
とてもロマンチックな花。」
そこまで知っていたのかと正直驚きが隠せない。
『雫さんは、何を誓うの?』
舌をついて出た言葉に動揺する。
別に、そこまで自分が期待する答えが返ってくるとは思わないことにする。
だって、落差があったときを思うと、辛いから。