極寒の季節を彼女と重ねて、彼女と出合った季節が巡ってこようとしていた。
まだ、彼女は見たことが無いかな…。
スターチスの花が咲くことを俺は例年を通して知っていた。
彼女の庭の一角に咲くそれはいつ誰が植えたのか分からないが。
それでも、きっとその花であることに意味があったのだと思う。
スターチス、花言葉は。
永遠に変わらない心、
変わらない誓い。
きっとこれを植えた人も愛しい誰かにそれを歌ったのだろう。
と、一人毎年思っていた。
寒さの残る早朝、ふと目が覚めてその花が気になった。
まだ、時刻は午前4時。
外に出ると、まだ薄暗かった。
裏口から出て、その花の下へ向かうと、人影。
…彼女だと思う。
そのシルエットは彼女のものと酷似していた。
近づくと、その人影は驚いた声を上げてこちらを振り返った。
「なつめさん?」
『雫さん?何してるの?』