―――――――……


一目見て可愛らしい女の子だと思った。



それに、愉快で天然な子だとも思った。



だって、初対面で何をいうかとおもえば。
友達になってくだしゃい!ってしかも噛んでるし。



それに俺のことを知っていた。
それも相まって少し彼女の評価が上がった。




友達申請されてからというもの、暇人の俺が思いついたのは。
毎日彼女のポストに本を入れておくこと。




いわゆる本の貸し借り。
これが一番手っ取り早いかなと。



「藤野さん、ありがとうございます。

これ、読みたかったんです。」




読書傾向がかなりかぶっていることもあり彼女の読みたい本を選ぶのは容易すぎた。



それに彼女の涙のつぼも、すぐに分かった。
だから、わざとそんな本を入れた翌日は泣きはらした顔で俺の家のポストに返しに来る彼女を眺めてなんともいえぬ余韻に浸った。











・・・そんなやり取りをしてひとつの季節を過ぎたあたり。




庭先で彼女が俺を見かければ、
「藤野さん!藤野さん!」とお声をかけられた。