その日は、穏やかな日だった。
窓を開けると、かわたれの空の端に見える太陽はとても美しかった。



それに、周りは静かだった。
音が無いと言っても過言ではない。




浮遊感が体を襲う。
いつもは鳥の声が聞こえてくるが、今日は何も聞こえない。



椅子にかけてある薄い桃色のカーディガンを羽織り、ゆっくりと廊下を歩く。
押し開けるようにして玄関を抜けて、素足の足を少し庇いながら庭へ向かう。





花を見つけるよりも先に、
私の網膜は彼の姿を結んだ。








優しく笑う彼はこちらに手招きする。




1歩1歩踏みしめて、彼の元へ。



破顔一笑し、彼は私を抱く。
(おはよう)
彼はいった。