「……っ、 ご、ちそうさまでした。」
桃を口に頬張り食べ終えたお皿を持って流しへ向かう。
『あー、洗い物そこ置いといていいよ。
雫さん手が荒れると良くないし。』
後ろから降ってきた声についつい甘えたくなるがこれで甘えてしまったら、先ほどの彼の宣言どおりではないか。
それに、なんとも女が廃れるような気がする。
「…私も、手伝います。」
そう言えば、少しばかり遅れて食べ終えた彼も台所にやってきた。
―――――…
お皿を洗おうとすると強引に彼に止められた。
私は布巾を持たされて隣で見学、もといお皿を拭くという係り。
「作家なのに、なつめさんだって、手荒れは駄目でしょ。」
と一喝すれば、
『君は女の子だから、男はいいんだ。』
あまり理屈の通らないそんなことでおさめられた。