肌寒い外の陽気とは違い、暖房の効いた室内。
廊下を少し歩き、台所へ。
『朝ごはんにしよう、手伝ってくれる?』
「もちろん。」
とは言ったものの、料理苦手だからな…。
「雑用しますっ。」
と補足しておく。
『じゃあ、これ、頼める?』
彼が渡してくれたのは桃の缶詰と、缶きり。
「あけていいんですか?」
『頼むよ。』
「はいっ。」
彼が、野菜を切っている隣、缶を開ける女性って。
どんな構図…。
台に缶をしっかり押さえて置いておきながら、渡された缶きりを構えるが。
(これって、どちら側を使うのか…)
鉄の棒の両端に付いている突起に、どちらを使って空けるのか思案するが、分からない。
想像は出来る。
クイッてしながら開けて行くんだ。
見たことはあるし、途中からならやったことはあるが。