あぁ、そうだ。
確かに彼に曜日は関係ないか。
「つい、忘れます。」
自分の多忙さにあきれ返ってしまう。
『雫さん、今日空いてる?』
「ええ、生憎、何もすることが無い身なので。」
振り返り際人差し指を唇に当ててみる。
「本当はいつも、なつめさんとの予定しかないんですけれどね。」
秘密ですよと、念を押す。
『じゃあ、ちょうど良かった。
俺も、君との予定しか無い身だからね。』
二人でほくそえめば、そっと肩に手を回され『帰ろう』と耳元で囁かれた。
肩を抱かれたまま、家と家を仕切る塀の一部が無い所、
私たちにとって通路を跨げば、もうなつめさんの屋敷だ。
なつめさんは裏口のドアを開けて私を通してくれる。