土曜の早朝でも早起きてしてしまった。
やはり、習慣と言うのは凄い。
昨晩はあんなに泣きながら寝入ったのに、寝覚めは悪くなかった。
いやむしろ、良かったと思う。
ベッドから体を起こしてひんやりする床へ足をそっと滑らすようにつける。
そのまま羽織ものを着込み、玄関へ向かう。
ドアを静かに開けて、外の空気の冷たさに気持ちが萎縮する。
そのままジョーロに水を汲みスターチスの花の下へ向かう。
まだ、彼は来ていない。
今日で99連勝目だ。
散ってきたスターチスの花は、それでもなお目を引くほど綺麗だ。
多年草のそれは、見ていてこちらが勇気付けられる。
『雫さん、』
その声は…
いつもどおり背後から回ってきた腕に身を委ねる。
「なつめさん、おはよう。」
『おはよう。』
「今日は土曜日だから、もう少しお寝坊するかと思いましたよ。」
本音を訴えればくすっと笑う声が聞こえてきた。
『まぁ、確かに土曜だけど、俺は実質曜日は関係ない職種なんでね。』