藤野さんの書く今度のお話は、
多分モデルが、
「これって私たちの事ですか?」
『さぁ、どうだろうね』
おどけた顔をして笑っている。
私の隣に腰を下ろし、頭を撫でてくる手に安心する。
『まぁ、まだまだこれからのお話だから。』
藤野さんの書いた内容を確認するとまだ、ほんの序盤だ。
「そうですね。
なんともいえないデジャブを覚えるんですが。」
『まぁ、なぞっているだけだからね。』
肩をおもいっきり藤野さんのほうに引っ張られる。
私のあごを綺麗な長い指で掴まれて必然と上を向かされる。
視線が交わる。
頬をゆっくりと伝う手に私は目を閉じる。
唇に触れる温かい温度に、
一瞬すべてを投げ出しそうになる。
目を薄ら開ければ、笑みがこぼれる。
「藤野さん。」
『こういう時くらい、名前で呼んで。』
「でも、私は仕事中です。一応…。」
彼のペースに巻き込まれそうになる。