『あ、ウォーミングアップならさっき済ませてきたんで全然問題ないですから』




オレは、それだけ呟くと、花音さんが持っていたモップを奪い取った。



『り、涼太くん…?』



『…だから、“暇”なんで手伝わせてくださいよ、花音さん?』




『…っ』





驚いたような花音さんを無視し、有無を言わせず、さっさとモップ掛けをすすめはじめたオレ。




花音さんもどうやら折れてくれたらしく、




『…ありがとう』




ポソリと、そう呟く声が聞こえてきた。