「そうだとしても、嫌なんだろ?
なんで何でもないなんて言うんだよ......。
気に入った男としかしないって言ってたのに。

俺はキャシーのことが心配なんだよ」



もう、やめてほしいのに......。
自分でもよく分からないけど、気持ちが、揺れるの。



「心配?アンタ、私の何なの?
はっきり言って迷惑なの。
アンタも嫌がってるのにまとわりついて、村上と一緒じゃない」


「え......迷惑......?」


「恋人ごっこはパリだけの約束でしょう?
私と俊輔はただの友達、勘違いしないで」



こんなことが言いたかったんじゃないのに、もっと他の言い方があっただろうに。


それだけ言った後、捨てられた子犬のような顔をしている俊輔を置いて、赤いスカートのマークのドアを勢いよく開けた。