「早瀬って意外と情熱的な声出すんだね」



社長はそう言って社長室にあるソファーに座った。




「情熱的なんかじゃッ・・・」


「早瀬がそーやって取り乱すとこ・・・ずっと見てたいな・・。早瀬も座れば?そんなとこに立ってないでさ。」




私は言われるがまま、社長とは向かい側のソファーに腰掛けた。



「美乃は結婚してるんだっけね?それに子供もいるって。」



「そうです。だからこんなことは金輪際しないでください。」


「こんなこと?君の口でちゃんと説明してよ。」




「キスのことです!!金輪際やめてくださいッ!!」



私は社長に対しイライラしてそうまくしたてた。







「わかったよー、わかったからそんなイライラしないの。いいね?」



社長はふと席を立って社長室の奥に消えた。
少し経つと、コーヒーカップ2つを持って帰ってきた。





「これでも飲んで落ち着いて。」


「社長がコーヒーを入れなくとも私ができましたのに・・・。」


「いーのいーの!!召し上がれ。」

私は目の前に差し出されたカップを持ち、コーヒーを口に含んだ。


高級感溢れる味わいに入り浸っていると、ふいに睡魔が私を襲った。





何かがおかしい・・・。