私は社長から距離を取ろうと後ずさりすると、いきなり襟首が掴まれる。
ひっ・・・・怖い・・・。
「今から俺の専属秘書ね。よろしく、美乃。」
掴まれた襟首が社長の方へ引き寄せられ、私が社長に抱きつくような形になり、そのまま唇を塞がれた。
えッ!!・・・ちょ・・私結婚してるんですけどッ・・・!?
抵抗しようと社長の身体を押した私の両手が社長の手によって縫いとめられる。
角度を変えて何度も繰り返される口付けになぜか心が掻き乱されていく。
口付けの間からはまるで愛し合っているかのような喘ぎが聞こえる。
これが自分の声なんて・・・・自分の声なんて信じたくない・・。
社長になんてなんにも感じないはず。
私は恒樹の妻なのに・・・私は恒樹の妻・・・・・。
「はっ・・・んんうッ・・・・やぁ・・」
離してください、と言いたいのにキスで掻き消されてしまう。
数分後、唇と両手が自由になった。