「なぁキララ、別れようぜ。」

 「えっ、なんで?」
 
 「まぁ、いろいろ理由はある。な、とにかく、別れよ。」
どうして?私はまだ、祐馬のこと好きなのに?
祐馬は、ずっと一緒って言ってくれていたのに。
 
 石川祐馬(いしかわゆうま)。 彼は、私の彼氏・・・いや、元彼氏。
サッカーをしていて、とてつもなくイケメンで、すごく優しい。
みんな顔目当て?って聞いてくるけど、私は祐馬の
すべてが大好きだった。

そんな彼は、5分ほど前まで、私の彼氏だった。
祐馬が、突然別れようと言ってきたのだ。


けれど、私は祐馬がまだ大好きだった。


あっ、ちなみに私は佐々木キララ(ささき きらら)。

元気で明るいフツーの女子中学生・・・あっいや今日入学したピッカピカの

高校1年生。



ウキウキワクワクな入学式のはずなのに、大好きな彼氏に
振られた。


あーもう生きていけない・・・そう思いつつ、教室に入った。



「おっキララ!ん?浮かない顔して、祐馬とケンカでもした?」


そういう彼女は、石井樹理(いしいじゅり)。小学校からずっと一緒の、大親友。


ケンカどころじゃねーよ!!という思いは、心にしまっておこう。


「実はね・・・」

ガラガラッ「みんなーおはよー!」

私がさっきあったことを話そうとした瞬間、
先生が入ってきた。


「はいはい、そこ、しゃべるなよー」


なっ・・・!なんてタイミングなのっっ!?あの先生!


そして、長い長ーい話が終わったあと、やっと帰宅時間になった。

「樹理樹理ー!!」

「はいはいはひあっっ・・・」


舌を噛んだらしい。
ていうか、はい、を何回言おうとしてたんだ!!


まぁ、それは良いとして、私は樹理に
さっきあった事をすべて話した。
教室には私と樹理しか居ないといえど、
話し終わった私は大泣き。

「うっ、うっ、ゆう、まっ、なんでっ、わたし、はっ、
まだっ、だいすきっ、なのにっっ」

うわーん、と泣く私を樹理は家まで送ってくれた。


そして私は夜も、ベッドの中で、いっぱい泣いた。






いつの間にか、眠ってたみたい。


ハッ!学校に遅刻する!

ガバッと起きると、ん?え、ここはいったいどこ?


「ん・・・???」
私の頭の上にハテナマークが浮かび上がる。

見慣れない風景・・・知らないベッドの上・・・
もしかして、保健室!?    そう思ったけど、ちがった。

どこ・・・ここ・・・

人の気配はなく、まるで、無人島の家で寝てるような気分。




とりあえず、この家から出よう。


冷蔵庫とかもあるけど、お腹空いてるけど・・・

うん、やっぱり、この家から出よ。


私の脳は逃げる事を選んだ。