「珀君がいなくても、私たちはずっと友達よ」

 そんなことも言われた気がする。



 あの女の子の名前は、なんと言ったか思い出せない。



 プレゼントの中身は珀の希望通り手作りクッキーで、私たちは例の秘密基地で仲良く分け合って食べた。


 いびつで粉っぽいクッキーを齧りながら、私は悶々としていた。

 その日、なんと私は、珀へのプレゼントを用意していなかったのだ。と、言うよりも、珀の誕生日についてすっぽり頭から抜け落ちていた。


 原因は二つ。


 一つ目は直前に起こった自分の悲惨な誕生日のせいだった。

 私のぜい弱なメンタルは、あれで相当なダメージを受け、なるたけ『誕生日』と言うフレーズを思い起こさないように努めていた。

 そのせいで、大切な『珀の誕生日』までも忘れてしまったのだ。




 もう一つの原因は、家にある。