「珀はモテるね」
クラスの誰からもプレゼントを貰えず、家でも悲惨なバースデーを終えた私は、結構卑屈な言い方をしたつもりなのに、珀はそれに気付かずわくわく笑った。
「中身お菓子だったら、一緒に食べよう」
珀の澄んだ笑顔の前では、私のちっぽけな嫉妬心などすぐに掻き消されてしまう。それは、私だけではなかった。
同じクラスの珀と私が、血のつながらない訳あり姉弟であることは、風の噂でクラス中が知っていた。
私たちは……正確に言えば珀の方が、クラス内でも馴れ馴れしく私に話しかけて来たけれど、それをはやし立てる子供が一人も現れなかったのは、ひとえに珀の美しい顔立ちと人柄のおかげだった。
珀は女子はもちろんのこと、男子にもかなり定評があった。
つまり珀はクラス一の人気者だったから、珀に危害を加える者はなく、相乗効果で私もイジメられずに済んだのだ。
珀と仲良くなりたいがために、私に優しくする女子さえ現れていた。