ふうと、息をつく。


 あの駄菓子屋のおばさんのおかげで、珀と私は打ち解けることが出来た。


 それはとても幸福なことで、同時に非情で不幸なことでもある。




「……」

 手に握りしめたままの三猿をショルダーバッグの内側へポイと捨て、ペットボトルの蓋を緩める。

 水は異常に柔らかく、ほんのり甘かった。

 思っていたほど喉が乾いていないと気付き、二口だけ飲んでバッグの中へと納めた。






 あの駄菓子屋のおばさんは、それからすぐ、脳梗塞でこの世を去っている。