「結奈様、宜しければ、お使いください」 やまがみさんが差し出してくれたおしぼりは、ほわっと温かく、いい香りがした。それを開いて、顔全体を覆う。 「ご気分は、いかがです?」 「最悪よ」 おしぼり越しに、呟く。 訳が……分からなかった。 怒っているのか、嬉しいのか、それとも、悲しいのか。 珀はどうして、こんなものを私に見せるのだろう。 だって、私の気持ちは。