「おばさん、おはようございます」

 スラっと背の高い女性が、真っ赤なバラの花束を抱えて中に入って来る。


 誰だろう?




「やっぱり、美紀ちゃんよ」

 母はまたベッドに囁いて「まあ」と花束に目を細めた。



「綺麗だわ。それに今日は随分、早いのね」

 母が親しげな微笑みを送る。




「だって今日は特別ですから。それにこの後、彼と新居を見に行くことになってるんです」




「そう」

 母の顔が俄かに曇った。





「美紀ちゃん、結奈の事は気にせず、結婚式を挙げなさい」