目の悪い珀は、母の居場所から僅かにずれた場所に顔を向け、にこやかに、大きく何度も頷いていた。
「大丈夫。グランパからね、ずっと前に、死んだ、お母さんの、病気の話を、聞いていたんだ。とても、珍しい病気だって。だから、僕が、どうなるのか、もう知っているよ。隠さなくて、大丈夫」
細い身体を起こして凛と微笑む珀は、私の知っているどんな珀よりも大人びていて、優しくて、なのに悲しみでいっぱいだった。
胸の奥で、ぎしぎしと、何かが不快に擦れる音がした。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…