目の悪い珀は、母の居場所から僅かにずれた場所に顔を向け、にこやかに、大きく何度も頷いていた。




「大丈夫。グランパからね、ずっと前に、死んだ、お母さんの、病気の話を、聞いていたんだ。とても、珍しい病気だって。だから、僕が、どうなるのか、もう知っているよ。隠さなくて、大丈夫」


 細い身体を起こして凛と微笑む珀は、私の知っているどんな珀よりも大人びていて、優しくて、なのに悲しみでいっぱいだった。




 胸の奥で、ぎしぎしと、何かが不快に擦れる音がした。