珀は、たった三センチのセロテープを剥がすのに何分もかかった。 やっと袋を開けた珀が、三猿を取り出し眼鏡に近づける。 「あ! 結奈、これって」 珀の声にちょっと張りが出る。 それが嬉しくて、私は大声で説明した。 「そう! 見ザル、聞かザル、言わザルだよ!」 ガタン 派手に円椅子が倒れる音がした。 振り返った私の頬に、バチンと鋭い痛みが走る。 一瞬、何が起きたのか分からなかった。