「帰るまでが林間学校」と偉そうに話す先生の演説をそわそわしながら聞き終え「解散」の合図に、一目散に走り出す。
バスの中で考えていたプラン通り、大通りに向かって、財布の残金でタクシーに乗り込み、そのまま病院へ直行した。
今、母は家に戻っているはずの時間で、病室には珀しかいないはず。
久しぶりに珀に会える。
それも今日は、珀を独り占めできる。早く会いたい!
タクシーが病院の玄関に停まり、自分の駆け足の遅さをもどかしく思いながら、わき腹を押さえて懸命に病院の階段を上ったのだった。
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