母と違って、おもちゃやぬいぐるみをねだればいつでも買ってくれたし、休日には、私が行きたがっていた遊園地や水族館に連れて行ってくれた。
遊び疲れた私を義父はいつもおんぶしてくれた。
家の中でも、私は義父にべったりくっついていた。義父の膝の上は私の特等席だった。
母は「あんまり結奈を甘やかさないで」と苦笑しながらも、私が義父になついていることが嬉しいらしく、いつも笑顔だった。
その頃、学校があまり好きじゃなかった私にとって、義父と母と私、三人でいられる時間が何よりの幸福だった。
その幸せがいきなり現れた珀のせいで壊れたのだから、幼い私が珀を疎ましく思うのは無理もない事だった。