珀は、相変わらず入院中だった。


 学校側の計らいで、私と珀は同じクラスで、担任の先生も昨年と同じになった。

 だから私は昨年同様、放課後の一切の仕事を放棄することが出来た。




 残念だったのは、未だ珀を諦めきれずにいる女子も、同じクラスになったことだ。
 彼女は相変わらず、珀の病状や、私の生活のあれこれを聞きたがった。




 新しいクラス、新しい教科書、新しい時間割りと、何となく目まぐるしい日々に、新しいクラスメートたちは浮かれていたけれど、私の感心が、珀との電話以外に向くことはなかった。


 母はと言えば、病院通いの疲労のせいか幾分痩せ細り、口うるささも増して、ヒステリーの塊と化していた。