母だけが珀に会いに行き、私は留守番をさせられ、しかも掃除と洗濯まで押し付けられていたのだから、怒りのボルテージはいよいよマックスだった。

 その日、干していた洗濯物を取り込み、母のエプロンが上手くたためないことに怒り沸騰だった私の元に、初めての電話が鳴ったのだ。



「こんな時に誰よ!」

 不機嫌な私に、電話の主が優しく笑った。




「やっぱりな。結奈がむくれてそうな気がしたんだ」



 電話越しの珀は「テレフォンカードを発見したんだ。それもた~くさん!」と嬉しそうに告げた。



 それから私たちは、病院から家に戻るまでの母の移動時間を見計らって、秘密の電話を始めた。