一人だけ、しつこく珀を気にしていた女子がいた。


 珀に近寄るために、クラスで真っ先に私に話しかけてきた女子。

 名前すら思い出せないクラスメートだ。



「珀君、心配だね」

「結奈ちゃんも、疲れてない?」

「なんか出来る事あったら言ってね」



 誰も珀を気にしなくなってからも、毎日毎日、飽きずに近寄ってくる彼女には閉口した。