「じゃあ、どういう事? 教えてくれなきゃ分かんない! 珀の病気のことだって、何度も聞いてるのに私にだけ秘密にして酷い。あの鼻血だって、大丈夫とか言ってたくせに、お義父さんは、嘘つきよ」


 いつものように母が怒鳴る。


「結奈! お父さんに謝りなさい! 子供は知らなくていい事もあるの。お父さんはね、あなたを傷つけたくないから、優しく言ったのよ。そんなに知りたいなら、しっかり聞きなさい。結奈、あなたがいると病院の邪魔になるの。子供が入院棟の病室をうろちょろしていると、迷惑がられるの。あなたはいいかもしれないけれど、お母さんは非常識って、周りの人から白い目で見られるの。それが堪らないのよ。勘弁してちょうだい」


 母の剣幕に一瞬あっけにとられ、それから沸々と怒りが込みあがる。


 私は口元にいやらしい笑みを浮かべた。