口からトーストのかけらが零れ落ちる。
「どうして?」
義父の困った顔に、私はイラッとなる。
珀がいなくなった家は、何か良くないものが少しずつ蔓延していくようで、その『何か』が私にストレスを与えていた。
そのせいか、私はちょっとのことで、すぐにイライラしたり、ムッとなったりする。
おかげで絶対歯向かえないと考えていた義父にすら、きつく当たれるようになっていた。
「学校なら大丈夫だよ! お見舞いに行っても、ちゃんと勉強はするから。それに家の手伝いだってしっかりやるよ」
「いや、そういう事ではなくて」
歯切れの悪い義父に更に苛立つ。こうなると、自分でもうんざりするくらい聞き分けがなくなり、目が尖って意地も悪くなる。
たぶんそこは、母に似てしまったのだと思う。