一学期が終わり、なかなか上等の通信簿を手に、ほくほく顔で家に帰った私は絶句した。

 大好きな義父はいつものように三人掛けのソファに座り、母もその隣で笑っている。



 いつもの光景。




 ただ一つ違っていたのは義父の膝の上。私の特等席であるはずの大きな膝は、同じ年頃の少年に占領されていた。




 こげ茶色の髪の毛と琥珀色の瞳が印象的な、ものすごく綺麗な男の子。



 義父と母と見知らぬ少年。


 みんな、私の知らない外国語を話し「HAHAHA」と海外的に笑い合っている。三人は幸せな家族そのものに見えた。

 その光景に、目がくらむ。


 あの子は誰?

 私の家で何してるの?

 お義父さんの膝の上は、私のものよ?

 どうして、あの子が座っているの?

 みんな、楽しそうに何を話しているの?




 何故私だけ、その言葉が分からないの?



 一体何がそんなに可笑しいの?




 気が付けば、通信簿は手の圧力と汗で、しんなりと折れ曲がっていた。

 そんな私に「あら、帰って来たなら言ってよ」と母が涙を溜めて笑った。