金の髪に金の瞳。
透き通るように白い肌をした彼女の名はセイラ。


彼女は何時も独り。
幼い頃からずっとずっと。


誰も彼女に近寄ろうとも、触れようとも、関わろうともしない。

何故なら彼女は人々を不幸へと誘う存在だから。


彼女の傍に寄れば気分を害し、深く関われば死者が出た。

その身に触れれば大怪我をし、言葉を交わすと気が狂う。


人間とかけ離れた存在。
人ではない何か。


人々は彼女を恐れ毛嫌いし、そして彼女は孤独に、独りとなった。



悲しい筈なのに、辛い筈なのに、苦しい筈なのに、そんな表情を全く見せる事無く無理に笑っている彼女。




　「ったく…お前は……」


そんな彼女を見ていられなくて、彼、コハクは溜め息を吐くと髪をかきあげ庭に出る。





　「…誰も居ない筈ないだろ……少なからず俺は、お前の事が心配なんだよ……」



　「！？」


小さなコハクの呟きは、遠くのセイラには聞こえているのかいないのか分からない。


しかしそれを気にする事も無く、コハクは小首を傾げるセイラに歩み寄ると彼女を軽々と抱き上げた。

何の迷いも無く、何の戸惑いも無く。