祥の目は驚いたように見開かれていた。

「あ、ゴメン……」

あたしは掴んでいた裾をぱっと離す。

祥はそれを見ると、ゆっくりあたしに近づいた。

「どうした?」

優しくあやすような声だった。

「今だけは、傍にいて……」

祥はクスッと笑った。

「うん、傍にいる」

祥は壊れ物を扱うようにあたしの頭を撫でた。

「本当に可愛いな」

ボソッと祥がつぶやく。

「ん?」

「麻結、キスしたい」

祥のいきなりの発言にあたしは驚く。

「す、すれば?おっさんと」

動揺のあまり噛んでしまう。