音もなく茶の間に滑り込んできた小梅さんは、目だけをキョロリと動かしました。


それはまるで茶の間にネズミが潜んでいないかと確認するようなしぐさでした。


小梅さんはするすると歩き、私の隣に位置する座布団の上にちょこんと座りました。



そして前足をきちんと揃えて、頭を下げたのです。




テレビがチカチカと点滅したように思いました。

きっとドラマが一区切りして、コマーシャルに入ったのでしょう。

最近のコマーシャルは光りが刺激的で、頭痛がすることもあります。


ついテレビに目が釘付けになるように拵えてあるのでしょう。

しかし、その時の私はテレビ画面が放つ光を横顔に受けたまま小梅さんを見ていました。