「大人になったのね。でも、大丈夫よ。どうもありがとう」


皐月は少し驚いたような声を出したが、すぐににっこり笑った。


陵はいつもこの笑顔が好きだった。

大きな目をきゅっと細めて、優しく笑う。

「いーよ!ほらっ」


陵が皐月の手からカバンを引ったくった。

皐月はびっくりして陵を見つめると、陵がそっぽを向いた。

「ふふ。陵ちゃんは優しいね。そこだけはずっと変わらない」

皐月が優しそうに呟いた。