「奏が俺に勉強教えてくれって言ったからだろ。でないとあの日もばあさん見送って終わりだよ」




「ううん。私はお願いをしなくてもきっと次の週からも圭吾に話しかけてたよ。だって、優しい人だって知ったから」




「・・・恥ずいからやめろって」




「あれ?照れてる?可愛い」




「可愛くない。そういや奏はなんであの電車に乗るようになったんだ?知り合いがいたわけでもないのに」




「教えてもらったんだ。お父さんに」


私はあの日を思い出すように窓の外の風景に目をやった。