「クスクス。奏、声が裏返ってる」




「あはは。やっぱり電話は緊張しちゃって」




「うん。それわかる」




「あ、あのね、今何してた?」


やっぱり電話越しの声はいつもよりも近くに聞こえるからか心臓の音がバクバク言ってる気がする。



もっと、もっと圭吾の声を聞いていたい。





「卒論やってた。最近はずっと卒論かな。奏は?」




「私は英語をやろうとして圭吾のことを思い出してね。外の星が綺麗でその中に一つすごく輝いてる星があってそれがトメさんに思えて思わず電話しちゃった」




迷惑だったかな。




数秒の沈黙の後、窓が開く音が受話器越しに聞こえる。