「彼は、俺が一番好きなアーティストなんだ。

人生というか、存在そのものが音楽っていうのかな。

とにかくすごいんだ。

『Sir.juke』ってバンド名も、彼の名曲のタイトルをもじってつけた。

音楽への敬意と、俺達の曲も彼の曲みたいに多くの人達に愛されるようにって思いをこめて」




いつもは口数の少ない圭吾さんが、自然に、目を輝かせて話している。


「好きなんですね」


語りかけると、夕日に照らされた横顔はいっそう嬉しそうに目尻を下げた。




「ああ。音楽の神様だから」




神様の歌声が、私達に降りそそぐ。


好きなものを共有する喜びに満たされていく。




ああ、神様。


どうか、この瞬間を永遠にしてください。




胸が痛いほどに、そう願った。