「うん。じゃあ、どこに行こうか」
一人で何かに納得した圭吾さんは、ハンドルに手をかけて前を向いた。
どこに行くかなんて、考えてもいなかった。
ただ会えることが嬉しかったから。
でも、圭吾さんは私の答えを待ってる。
「どこでもいいよ。行きたいところ」
行きたいところ。……
私の頭の中にある選択肢は、きっと普通の女の子よりずっと少ない。
その中から懸命に選び出したのは。
「星が、見えるところ」
……沈黙が降りてきた。
「まだ、昼だよ」
圭吾さんは、失笑、という感じ。
失敗しちゃった。
一度言ったことは取り消せない。
後悔がどっと押し寄せる。
でも、圭吾さんは。
「分かった」
と言って、エンジンをかけた。
「……どこに、行くんですか?」
おそるおそる尋ねると、答えは当然のように返ってきた。
「星の見えるところ」