しばらくうつむいていたら、不意に上から声が降ってきた。


「車取って来るから、裏口で待ってて」


見上げると、着替えを終えた圭吾さんがすぐ横にいた。


「格好つけんな」とか「羨ましいぞコノ野郎」と茶化す声が部屋を飛び交う。


そこへ温度の違う言葉が投げこまれた。




「用が済んだら、すぐに戻れよ」




リーダーの、ショウさんだ。


場の空気が一気に引き締まる。


でもそれは険悪な雰囲気ではなくて、いい緊張感。


ショウさんがみんなから信頼されている証拠だ。




「分かってるよ」


圭吾さんは微笑んで部屋を出て行った。