ライブが終わってすぐ、トワさんは再び私を控え室へ連れて行ってくれた。


「あいつら、また沙妃ちゃんに会いたいんだって」


その言葉を、私は信じられなかった。


この前はあんな風に帰ってしまって、絶対に嫌われたと思っていたから。


合わせる顔がなくて、できれば会いたくなかった。


それなのに。




「沙妃ちゃん、この間はごめん!」


ドアを開けた瞬間、私を待っていたのは頭を下げているみんなだった。


「何も知らずに調子に乗って、ごめんね」


「しかも夜道を女の子一人で帰らせて。恐かったよね」


口々に謝罪の言葉を並べる彼ら。


きっと圭吾さん同様、綾乃から私の『病気』のことを聞かされたのだろう。


私一人のためにライブ後の楽しい気持ちをそっちのけにしてくれた、その優しさがあたたかすぎて、苦しくなった。




ちっとも恨んでなんてない。


むしろ悪いのは私なのに。


こんなにも思ってもらえていることが、嬉しくてたまらない。




そう伝えたいのに、気持ちがあふれてうまくいかなかった。