少し温かくなった胸で帰ると、我が家のリビングには、ママとお茶している綾乃がいた。
「あら、おかえりなさーい」
してやったりの笑みで迎えられて、私は渋い顔を隠せない。
やっぱり、綾乃が謀って圭吾さんと私を鉢合わせたんだ。
「綾乃のウソツキ」
「あら、私は嘘なんか一つもついてないわよ、駅にくるように言っただけ。
そんなことより、誤解はとけた?仲良くなれた?」
「……うん」
「ほんと?ああ、よかった!」
大袈裟なほど胸をなでおろす綾乃。
それを見たら、眉間のしわも伸びてしまった。
圭吾さんと話せたおかげで、こんなにも胸が軽くなった。
綾乃のお節介が、本当はとても嬉しかったんだ。